質問内容

2024年10月24日23:07

履修登録
法学部 法律学コース

質問失礼します。
急かして申し訳ないのですが、早めに回答いただけるとありがたいです
新入生でなく進路で考えてる高2です。失礼とはわかってるのですが、進路を考える際どうしても知っておきたいことがありましたので質問させていただきました。
いま、法学部と理工学部(今のところは化学系または工学系)で迷っていて、他学部履修のことについて知りたいです。
法学部→理工学部または理工学部→法学部のように他学部履修することは可能ですか?また、その場合どのくらい深くまで学べますか?
そのほかにも第二外国語(ドイツ語またはロシア語)や心理学もできれば学びたいです。
全てできれば最高なのですが、もし無理ならどのくらいまでならできるか教えてください。。


回答

2024年10月24日23:07

ご質問ありがとうございます。
結論から申し上げますと、①都立大は総合大学であるので、心理学は全学共通の教養科目である程度学べる②言語も第二第三という形で誰でも学べる③理工学部に入って法学部の専門科目を他学部履修するというのはまあできるが、逆はハードルが高い、主にこの3点の理由により、理学部または工学部に入って、法学部の授業を一部受けることが現実的です。
ここから詳細にその理由について述べていきます。先に言っておきます。かなり長くなります。お付き合いいただければと思います。

まず大前提として、我々は都立大生の学生への情報提供を行っているため、構成メンバーが全員都立大生です。でうので、他大学がどのような方針を立てているのかわかりません。想定できる具体例は都立大だけです。
高校2年生ですから、ちょうど文理選択でいろいろ悩む時期かと思います。具体的な進路を定めるのはまだまだ先ですが、この前提をしっかりと理解し、心に刻んだうえで、ぜひ大学受験までの時間をフルに活用し、後悔のない選択をしてください。

・目次
この7本立てで説明していきます。
0 はじめに(↑のことです。)
1 他学部履修の難易度と深度
2 履修の自由度
3 大学入学後の学部変更
4 全学共通科目のカバー範囲(メインで学びたいのとは別に、心理学を学びたい)
5 未修言語(第2外国語、第3外国語)
6 院進後の理転(文系学部卒が理系の研究室に所属すること)
7 今からできる情報収集・イメージ固め

(都立大は理学部と工学部が完全に分かれている大学なので、理学部化学科とシステムデザイン学部のインダストリアルアートを除く学科を想定して書きます。システムデザイン学部は工学部だと思って下さい。
インダストリアルアート学科はほかの同学部の学科と比べると少し異質(体感)です。)

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1 他学部履修の難易度と深度

1.0 総評
以下に記述する3学部・学科に限らず、専門科目で本格的に専門的な内容を学び始めるのは、どこもだいたい2年次からです。
そのころには教室やコースが決定していることがあり、学べる範囲が一気に狭くより深くなっていきます。
つまり学部1年生の時期は、「その学部学科における常識レベルで知っていないといけない知識」を学んだり、共通科目※1を履修したりする期間に充てる、ということです。
従って、学部1年生から学べる内容というのは初学者、ずぶの素人が受講生の中にいるという前提で教わることがほとんどです。
2年生以上の内容は中~高度な内容となっており、1年生の段階で基礎的な知識の積み重ねが必要不可欠です。この傾向は特に理系に顕著です。

また、理系大学生は1年生、2年生辺りの期間で理系向けの共通科目を履修します。これにもいろいろ種類があって、学部学科ごとに理系共通科目の中でも推奨科目が異なります。中には、特定の科目が必修扱いになっている学科もあります。

1.1 各学部学科について
法学部:
法学部には、他学科が受けるハードルが低い授業がそれなりにあります。
というのも、社会人として生きていくうえで必要な法律としての知識が付く、一般教養寄りの専門科目というのが存在します。
法学部以外の分野においても「関連法規」という名目で法律を学ぶ機会があり,その場合の推奨科目として法学部の専門学部が指定されている場合があります。
他学部が法学部の専門科目を履修するケースは普通にあります。この質問箱にも過去に他学部の法学部専門科目履修についての質問が来ていたりします。
https://ishiike.herokuapp.com/qanda/102/

化学科:
シラバスをよく読んで、事前知識の必要の有無を調べる必要が出てきます。
高校範囲の物理や化学の知識を要するものが多い印象です。2年生以上になると、座学に加えて実験というのが入ってきます。実験の科目は制限が厳しく、基本的に他学部・他学科の人は受けることができないと思ってください。
1年生の段階での理系共通科目に必修が存在するため、2年次以降はその必修の内容を知らないと太刀打ちできないという風に思ってください。

システムデザイン学部:
シラバスをよく読んで、事前知識の必要の有無を調べる必要が出てきます。
1年次は高校での数学(数Ⅲまで)と、高校物理の知識を最低限必要とするものがほとんどです。
こちらも2年次になると実験が入ってきます。

理系の学部学科はだいたい
・1年次の授業はだいたい高校の知識+理系共通科目の知識で何とかなることが多い
・2年次以降になると,ちょっと事前知識なしでは太刀打ちが厳しいのが増えてくる……
といった感じです。積み重ねなしでできる範囲は一般教養とか高校範囲をちょっと拡張した程度の深度、という印象です。

※1 共通科目…全員が取れるものと、理系の人が取ることを想定しているものがあります。教養科目はこのカテゴリの、全員が取れるものに該当します。

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2 履修の自由度

2.0 履修のイメージ
授業を受けるうえで考えなくてはならないのが、
・どの授業を必ず取らなければいけないのか
・どの授業を取るべきなのか
・どの授業を取りたいか
この3つです。
上から順番に重要度が下がっていくイメージです。
履修をくむ(受けたい授業を選び、時間割を決定することを言います)際は、学科のCAP※2と自分の限界と相談しながら、上二つに該当する授業を最初に選び、残った空きの授業枠に3つ目の条件に合致するものを入れていくことになります。

履修の自由度は学科ごとに結構差があります。
実際の有志の大学生が報告して下さった大学1年生の履修の中身を石池(本サイト)で見ることができます。もしよければ、シラバスと一緒にイメージを掴むための参考までにご覧ください。
時間割:
https://ishiike.herokuapp.com/welcome/time-table/
シラバス検索システム:
https://ishiike.herokuapp.com/syllabus/search

2.1 制度からみる履修の自由度
法学部はじめ文系学部にはなくて、理系学部にはだいたいあるものがあります。標準履修課程です。
理系学部は理学部、システムデザイン学部両方の学部の、各学科・コース(学科の中での細分化のこと)ごとに標準履修課程というものが存在しています。
学生が4年でスムーズに卒業して、かつ、授業難易度の飛躍がないように組まれており、そのカリキュラムが想定している「何年生の時にこの授業を受ける」というのが標準履修課程です。
理系大学生の多くはこの標準履修課程に沿って受ける授業を決定しています。また先述のCAP制度があるため、制限単位から標準履修課程に沿って受ける授業の単位を引き算すると、意外と余裕がありません。
つまり、自分の好きな授業を受けようとすると、隙間隙間に1つだか2つだかしか入らない、それ以上は制限に引っかかる、なんなら必修と被っていて受けることができない、ということがままあります。
1年生の時はこの自由に使える単位数(以下、可処分単位とよぶ)が結構あり、理系大学生は1年生の可処分単位が多い時期に、卒業に必要な共通科目を受けてね、といった感じになります。
卒業要件ギリギリで卒業することも可能ですが、これをする学生はそう多くありません。受ける授業を減らすと、今後受ける授業でわからないところが出てくるリスクがあるからです。
まとめると、1年のころはマシだけれど、2年から先は割とギチギチということです。

一方法学部については、卒業要件を満たすことが最も重要であり、極論を言うと卒業要件ギリギリで卒業する(つまり時間割に空きを多く作る)、ということが可能です。もちろん、CAPギリギリまで詰められるだけ詰めるということも可能です。しかし法学部はテストが重いため、自分の余力体力とよく相談して授業を受ける必要があります。
結論、法学部の方が標準履修課程がない分、履修自由度は理系よりも高いです。

※2 CAP…履修可能な単位数の上限のことです。授業ごとに単位という数字が存在し、その合計値が一定の値になるとそれ以上履修できません。一部学科に存在します。ちなみにシステムデザイン学部と化学科、法学部にはこのCAPがあります。

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3 大学入学後の学部変更

3.0 制度
学則にある転科のルールです。
https://www1.g-reiki.net/tmu/reiki_honbun/u430RG00000130.html

法学部の受け入れ:
基本的なルールとして定められている受け入れのハードルはそこまで高くありません。1,2年生の間で取る必要がある、全学部に課せられる必修科目に加えて、第2外国語、第3外国語(ドイツ語、ロシア語はこれに該当します)を含む特定の単位数以上の単位を取っていれば、転部・転科をすることができる可能性があります。

化学科の受け入れ:
法学部同様、基本的なルールとして定められている部分ではハードルはそこまで高くはありません。1,2年生の間で取る必要がある、全学部に課せられる必修科目を取っていれば、転部・転科をすることができる可能性があります。

システムデザイン学部の受け入れ:
システムデザイン学部での受け入れは、先述のルール則っています。1,2年生の間で取る必要がある、全学部に課せられる必修科目を取っていれば、転部・転科をすることができる可能性があります。

3.1 実情
では転部・転科が認められる状況というのはどういうことを指すのでしょう?
これはだいたいどこの学部学科も同じ「学科の定員に満たないとき・定員に空きができた時」です。つまり状況によっては転科ができない可能性が大いにあります。
また、転部・転科は事前に学科の担当教員に相談をする必要があります。2年次になるタイミングでは1.0章に述べられている、カリキュラム的な理由で比較的ハードルが低いですが、3年次になるタイミングの転科はかなり難しいと思ってよいです。
いずれにせよ、教員と事前に相談する必要があり、この相談というのは早ければ早いほど良いです。年単位での準備が必要になる可能性があるからです。
法学部から化学科やシステムデザイン学部に転部・転科する場合、別途で勉強をしたり、学科で必要になる常識を持っているかを調べるための試験が課せられたりする可能性があります。

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4 全学共通科目のカバー範囲

4.0 総評
メインで学びたいこととは別に、心理学の勉強をしたいということについてですが、教養科目※3で心理学に関係することを学ぶのが現実的であろうと思います。
大学は研究機関ですから、将来的にその分野について専門的に勉強する・研究するつもりがある、という前提で専門科目を開講します。単に興味があるというだけであれば、教養科目でも十分な学びになると思います。

4.1 教養科目の延長線上にある専門科目
教養科目は、その多くが専門科目への入門を兼ねる側面を持っています。したがって、教養科目の延長線上に専門科目が位置している、というケースは少なくないです。
しかし、この専門科目についての履修は一度自分の履修予定や今までに受けてきた授業と照らし合わせて、よく考える必要があります。
何度も似たようなことを述べていますが、専門科目の多くは2年生以降の授業ですから,1年生の頃の事前知識が必要になってきます。これを1年生の時に、自分の学科の授業と並行してしっかり受けて、専門科目に臨めるなら良いのですが、体力的にもCAP的にも、これは現実的ではありません。
また、2年次以上だと、自分の学部学科の授業で手一杯になる、ということが起きます。特に理系はこれが顕著です。ですから、単に興味があるというのであれば、教養科目程度に収めておくのが現実的です。

幸い、教養科目で心理学に関連するものはちゃんとありますし、学生からの評判がいいものも中にはあります。もし都立大に入学して、このような授業がまだ開港されていたら、ぜひ受けてみてください。

※3 教養科目…全部の学部・学科の人が受けることができる科目である共通科目の中のカテゴリの科目です。まったくずぶの素人でも理解できるほどの易しい難易度になっているが,その分野についてのエッセンスがしっかりと含まれています。

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5 未修言語(第2外国語、第3外国語)

5.0 総評
未修言語科目、いわゆる第2外国語、第3外国語ですが、これは人文社会学部などの一部学部やケースを除き、その履修は推奨はされても必修にはなりません。つまり、取りたい人がとってくださいという形式になります。通常の他の授業と同じです。法学部、化学科、システムデザイン学部は、未修言語科目が必修ではありません。都立大にはドイツ語とロシア語、両方の授業がありますから、受けたければ時間割と相談の上、受けてみるのもよいかもしれません。

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6 院進後の理転(文系学部卒が理系の研究室に所属すること)

6.0 総評
さて、ここまで長々5000字超にわたる説明をしましたが、内容を総合すると、文系学部から理系学部に行くには少しハードルが高いということがお分かりかと思います。なにも学部で理系に転向しなくてもいいじゃないか、という発想のもと、文系で学部を卒業して、そのまま理系の大学院に進学するケースについても一応解説しておきます。

6.1 大学院での文転、理転
学部で文系→院で理系、という人はしばしば聞きます(ただし一発合格はあまり見かけません)。なお、逆はほとんど聞いたことがありません。
従って、文系学部卒、大学院で理系に進学することについてわかる範囲で書きます(私もこの辺に関してはまだまだ素人でよくわかってない部分も多いです)。院で理転はやはり大変なようです。とにかく学部の段階で理系だった人と同じ土俵に立つわけですから、出遅れた分猛勉強しないとついていけません。研究に必要な基礎知識をさらうことから既に茨の道です。
都立大の院は内部進学があるため、院から理転する人に対しては不親切と思うかもしれません。しかし、都立大の外に視線を向けてみると、大学院大学では院から理転してくる人も一定数います。また、文系学部卒が理系の院に進むにあたり、そのギャップをフォローできるプログラムも存在するようです。

※4 大学院大学…狭義では大学院の方がメインになっている大学のこと。学士より修士、博士(現在では場所によっては博士前期課程、後期課程と呼ぶようです)の方が手厚くなっています。広義では、学部を持たない、大学院のみの大学のこと。今回の場合は後者を指します。
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7 今からできる情報収集・イメージ固め

7.1 都立大の研究室に行ってみる
都立大で腹立いている教員や研究員の方々は、みな学問に対し並ならぬ情熱を持っている人ばかりです。学びたい学生を拒否することはまずないと思ってよいです。興味があるなら、アポイントメントを取っていってみるとか、調べてみるとかしてみてもいいんじゃないかなと思います。

7.2 オープンキャンパスに行ってみる
今からじゃもう遅いかな?そんなことはありません。大学の雰囲気を確かめに行くのは、大学選びという意味でも、今後の自分のイメージをなんとなく想像してみるという意味でも、非常に重要なことになります。オープンキャンパスだと普段の雰囲気がわからない、という人には、都立大のキャンパスツアーやキャンパス自由見学もありますから、それも積極的に活用してみるとよいでしょう。
キャンパス見学の詳細:
https://koudairenkei.fpark.tmu.ac.jp/event.html

7.3 大学の募集要項を見てみる
ちょっと早いんじゃないかな?と思うかもしれませんが、大学入試はとにかく計画性が勝負の勘所です。早いうちから、なんとなくでいいから必要な科目の方針を立ててしまうのが良いと思います。後から必要になった、では取り返しがつきませんから。そのためには大学に行くために何が必要なのかを確認しなくてはなりません。裏で少しずつでもいいから読み進めてみてください。

7.4 大学生に聞いてみる
やっぱり生の声に勝るものはありません。もし、もっと聞きたいこと、細かく質問したいことがありましたら、TwitterのDMでも対応いたします(ID: @f_tmu_)。

7.5 石池(当サイト)の情報
新入生向けWiki:
https://ishiike.herokuapp.com/welcome/
シラバス検索システム:
https://ishiike.herokuapp.com/syllabus/search

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長くなりましたが、結論としては一番最初に述べたとおりです。
ぜひ身近な大人や先生、友達も巻き込んでたくさん悩み、後悔のない選択をしてください。
そして、ぜひ高校、その後の大学受験まで、またその先も、勉強を楽しむ心をもって臨んでください。

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