授業方針・テーマ |
「表現の自由と差別」について、哲学史と現代思想から、いくつかの考え方のスタイルをテクストに即して解説する。まず、シャルリ・エブド事件などの具体的事例を紹介し、そこにいかなる哲学的問題があるのかを説明・討議する。つぎに、フランス啓蒙期における表現の自由概念の哲学的背景を解説する。以上の助走を踏まえ、ジャック・ラカンの精神分析理論を批判的に用いながら表現の自由と差別の問題を論じた、ジュディス・バトラーとスラヴォイ・ジジェクのテクストを解説する。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
(1) 現代ヨーロッパ哲学の古典的なテクストの一部について、意義と文脈を自ら解説することができる。 (2) 現代社会の諸問題について、ヨーロッパ哲学の概念をもちいて論じることができる。 (3) テクストの解釈とその現代的意義の考察について、自らの考えを他者に論理的に伝えることができる。 |
授業計画・内容 授業方法 |
<第一日> 第一回 授業テーマと講義の流れの説明 第二回 表現の自由と差別の事例分析:シャルリ・エブド事件の解説 第三回 表現の自由と差別の事例分析:トランプ大統領とウォークネス *事前学修:表現の自由と差別について、最近の報道事例をひとつ授業で口頭説明できるよう準備してくる。 *事後学修:コメントシートの提出
<第二日> 第四回 ヴォルテール『寛容論』の引用解説 第五回 ミル『自由論』の引用解説 第六回 カント『啓蒙とは何か』の引用解説 *事前学修:テクスト『寛容論』(ヴォルテール著)を読んでくる *事後学修:コメントシートの提出
<第三日> 第七回 バトラー『触発する言葉』のラカン的概念:foreclosure/resignification 第八回 バトラー『触発する言葉』における合衆国軍DADT規定の批判 第九回 バトラー『触発する言葉』におけるR.A.V. v. St.Paul判例の批判 *事前学修:引用プリント(『触発する言葉』)を読み、質問を考えてくる。 *事後学修:コメントシートの提出
<第四日> 第十回 ジジェク『絶望する勇気』のラカン的概念:the real/antagonism 第十一回 ジジェク『絶望する勇気』における人種差別批判 第十二回 ジジェク『絶望する勇気』におけるジェンダー差別批判 *事前学修:引用プリント(『絶望する勇気』)を読み、質問を考えてくる。 *事後学修:コメントシートの提出
<第五日> 第十三回 表現の自由と差別に関する哲学的概念の復習 第十四回 表現の自由と差別に関する綜合討議 第十五回 表現の自由と差別に関する質問への教員からの応答 *事前学修:四日目までに配布した引用集を読み返し、質問を考えてくる。 *事後学修:授業で配布した引用集を用いて最終レポートを作成・提出する。 |
授業外学習 |
各日程の事前学修として配布資料の熟読、事後学修としてコメントシートの提出を行う。事後学修は以下のとおりである。
第一日について *表現の自由と差別について授業で紹介する現代の事例をひとつ取り上げ、考察をコメントシートに記入する。
第二日について *ヴォルテール『寛容論』をもとに表現の自由の根拠について考察し、コメントシートに記入する。
第三日について *バトラーについてコメントシートに考察を記入する。
第四日について *ジジェクについてコメントシートに考察を記入する。
第五日について *最終レポートで、授業で扱った諸理論を比較考察し、自らの見解を述べる。 |
テキスト・参考書等 |
テキスト *授業内で配布する引用集プリントをもちいる。引用は主に以下の参考文献から行う。
参考文献 『寛容論』(ヴォルテール著、光文社、2016年) 『絶望する勇気』(スラヴォイ・ジジェク著、青土社、2018年) 『触発する言葉』(ジュディス・バトラー著、岩波書店、2004年) |
成績評価方法 |
(1) 毎回のコメントシート(事後学修) 40% (2) 授業内における討議 15% (3) 最終レポート 45% |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
集中講義期間中は毎日の授業後1時間受け付けます。 最終レポートについての質問などは授業後もkibacoで受け付けます。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
特定の前提科目はありません。 |
備考 |
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