Syllabus
シラバス照会

<< 最終更新日:2025年03月27日 >>
基本情報
科目種別 専門教育科目 授業番号 F3033
学期 前期 曜日
科目 日本文化特殊講義 時限 2限
担当教員 小島 裕子 単位数 2
科目ナンバリング
※2018年度以降入学生対象
JHD-215-1:人文社会学部専門教育科目

担当教員一覧

教員 所属
小島 裕子 人文学科

詳細情報
授業方針・テーマ 中世宗教文芸論―『梁塵秘抄』「神歌」の世界
 鎌倉時代幕開きの前夜、時の法皇であった後白河院は「今様」という歌謡を蒐集、『梁塵秘抄』を編纂した。そして、「声わざの悲しきことはわが身隠れぬる後、留まることのなきなり」と、消えゆく音声の宿命を嘆き、自ら『梁塵秘抄口伝集』を執筆、これに添えた。
 御撰の『梁塵秘抄』には、平安時代後期の文化や思想を鮮やかに映し出す歌々が満ち満ちている。講義では、その中から私に心に響く歌を選び紹介。学問の地平を押し広げ、歴史・宗教(経典)・美術(仏像)・音楽(声明)・法会儀礼などの様々な分野の文献資料を用いながら、歌を深く読み解くことで、その魅力に迫る。
 前期は、後白河院が記した今様の起源および日本文芸史における位置づけについて、『口伝集』の当該箇所を読んでから、「神歌(かみうた)」の世界を繙いてゆく。神歌の背景にある神仏習合思想(本地垂迹説)を学ぶ。授業は講義を中心とするが、受講生との間で、資料の扱い方を含めた示唆と相互読解を深めるための場をもちつつ進めたい。
習得できる知識・能力や授業の
目的・到達目標
到達目標は、『梁塵秘抄』という作品に対する理解を深めるなかで、「宗教文芸」という、宗教観を背景に生み出された文芸世界の一端を教養として修めること。
授業計画・内容
授業方法
前期15回の授業を以下の内容で講義形式にて行う。
第1回 授業ガイダンス・プロローグ 『梁塵秘抄』、『梁塵秘抄口伝集』概論 
第2回 『本朝書籍目録』と現存巻第二の構成 
第3回 「塵」の今様――巻一、巻頭歌考と書名の由来
第4回 神仏習合思想――現存する神歌と法文歌と
第5回 神歌とは 
第6回 概観「神歌いろいろ」   
第7回 WORK①「私の今様一首選〈神歌篇〉」紹介 *アクティブラーニング(双方向)
第8回 WORK①「私の今様一首選〈神歌篇〉」紹介 *アクティブラーニング(双方向)
第9回 実践WORK②「一首選 先行研究シート」分析 
第10回 「音にのみ聞く蓬莱山こそ高き山」<基礎的注釈研究>
第11回  〃 ――ものは尽くしの今様、日本・東アジア・仏教的宇宙
第12回 実践WORK②「一首選 先行研究シート」分析 
第13回 「本体観世音、示現大明神」<基礎的注釈研究>
第14回   〃 ――神仏習合思想を謡う今様 
第15回 総括 神歌の世界、その魅力
   ※個々の歌々については、クラスの様子に応じて変更することもある。
受講者は、講義の聴講に併行して、自ら私選の今様一首を選ぶWORK①「私の今様一首選〈神歌篇〉」)、当該の歌の「先行研究」を整理するWORK②「一首選 先行研究シート」の作業段階を経て、最終課題のレポートに備える。WORK①②を受講者間で相互に確認し合うアクティブラーニング(双方向)の授業回を設ける。レポートを書くに至るまでの過程として必要な作業方法を促し、丁寧に指導してゆきたい。
授業外学習 授業内に配布された資料をもとに聴講した講義を振り返り、自身の目で今一度読み込む(復習)。講義に先行して配布される資料に目を通した上で聴講する(予習)。
最終課題に向け、各々が進めるWORK①「今様一首選〈神歌篇〉」、WORK②「一首選 先行研究シート」の具体的な作業・調べ物を行う過程で生じた疑問・問題点を明らかにしてゆき、質問などによる解決法を講じる。
テキスト・参考書等 テキスト:ジャパンナレッジ収録『梁塵秘抄』小学館日本古典文学全集。毎講義時に資料としてプリントを配布する。ファイルして教科書とともに毎回持参すること。
参考書:図書館・書庫等で利用可能な基本参考書を以下に提示する。佐佐木信綱校訂『梁塵秘抄』(岩波文庫)。/『古楽書遺珠』天理図書館善本叢書。『梁塵秘抄』岩波日本古典文学大系。『梁塵秘抄』小学館日本古典文学全集(旧・新・完訳)。『梁塵秘抄』新潮社日本古典集成。『梁塵秘抄』岩波新日本古典文学大系。『梁塵秘抄考』小西甚一著(三省堂)。『梁塵秘抄評釈』荒井源司著(甲陽書房)。『梁塵秘抄全注釈』上田設夫著(新典社)。『梁塵秘抄口伝集』馬場光子全訳注(講談社学術文庫)。なお、基本参考文献については、初期の講義時に指示する。その他の参考文献については、必要に応じて毎講義時に紹介してゆく。
成績評価方法 最終レポート50%、WORK30%、平常点(授業参加度)20%
質問受付方法
(オフィスアワー等)
授業内終了前10分程を質問対応時間として設けるが、授業後20分程度、質問などに対応するので、遠慮なく申し出るよう。
特記事項
(他の授業科目との関連性)
後期の「法文歌篇」とともに、通年で履修することが望ましい。

備考