授業方針・テーマ |
労働法とは、「人が雇用されて働く上で発生する問題を法的に解決するためのシステム」である。大別すると、①個々の労働者と使用者との間の雇用関係を規律する雇用関係法(個別的労働関係法)、②労働組合と使用者との関係を規律する集団的労働法(集団的労働関係法)、③労働者の就職時、失業時におけるサポートを目的とする雇用保障法(労働市場法)の3つの分野に分かれる。社会状況の変化、企業組織の再編、そして企業間競争の激化に伴い、労使間の紛争が増加している今日、労働法の重要性は増している。そのため労働法を学ぶことは、企業コンプライアンスの観点から必要不可欠であり、またこれから社会に出て民間企業に就職するであろう受講生にとっても大変有意義なものである。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
本講義では、上記3つの分野のうち、①個別的労働関係法を中心に講義を行う。主に、条文解釈、裁判例の分析、学説の検討を中心に行い、受講者の基本的理解を深め、企業組織で働く上で必要な知識の習得を目的とする。またその際には、裁判例を参考に作成した事例問題を用いるなどの工夫を通じて、実践的で理解しやすい講義を心がける。本講義を通じて、我が国の雇用社会の全体像を理解し、働くためのルールを習得してもらいたい。 |
授業計画・内容 授業方法 |
レジュメとテキストを用いて、以下の項目について、それぞれ、1・2回かけて進行する。 (1) 労働法(雇用関係法・集団的労働法)の概要 (2) 伝統的日本型雇用とその変容 (3) 労働契約の終了(辞職・合意解約・解雇・整理解雇) (4) 労働者・使用者 (5) 採用・内定・試用期間 (6) 労働条件の決定システム (7) 就業規則 (8) 労働者・使用者の権利・義務 (9) 賃金①(賃金支払いの四原則、休業手当等) (10) 賃金②(賞与・退職金等) (11) 労働時間①(労働時間、時間外労働等) (12) 労働時間②(管理監督者の適用除外、多様な労働時間制度) (13) 休暇・休業 (14) 労働災害と法(労災保険制度、安全配慮義務等) (15) 懲戒 |
授業外学習 |
予習について:指定したテーマについて、テキストの該当ページを授業前に読んでおくこと。範囲についてはあらかじめ授業あるいはkibacoで指定する。
復習について:講義内容を思い出しながら、レジュメ・テキストの該当ページを読み直すこと。特に、レジュメの事例問題を見直し、重要論点の知識を深めてください。特に復習してもらいたい点については、講義内でアナウンスする。
毎回の授業終了時に、kibacoを通じて課題の提出を求める。授業内容を復習したうえで課題に取り組んでください。
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テキスト・参考書等 |
≪テキスト≫ 土田道夫『労働法概説(第4版)』(弘文堂・2019年) ※テキストは予習・復習に必要です。
≪参考書≫ 『ジュリスト労働判例百選・第10版』(有斐閣・2022年) 土田・豊川・和田編『ウォッチング労働法・第4版』(有斐閣・2019年) |
成績評価方法 |
学期末試験(80%)と課題(20%)により評価する。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
質問受付については、授業後あるいはkibacoの質問機能等を通じて行う。詳細は、講義内でアナウンスする。また火曜4限にオフィスアワーを設定している。質問のある学生は、事前(授業後、あるいはメールにて)にコンタクトを取ってください。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
労働法の全体像を理解するためには、労働法Ⅰ、労働法Ⅱの受講が不可欠である。この授業を受ける学生については、労働法Ⅱの受講を強く勧める。 |
備考 |
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