Syllabus
シラバス照会

<< 最終更新日:2024年03月13日 >>
基本情報
科目種別 教養 / 文化・芸術・歴史 授業番号 X0023
学期 後期 曜日
科目 フランス語圏の文化 時限 2限
担当教員 西山 雄二 単位数 2
科目ナンバリング
※2018年度以降入学生対象
GBB-120-1:全学共通科目

担当教員一覧

教員 所属
西山 雄二 人文学科

詳細情報
授業方針・テーマ フランスの社会・文化・歴史などを概観できる、フランスの多様な世界への道案内講義。
習得できる知識・能力や授業の
目的・到達目標
本講義では、フランスに関する多様なテーマを取りあげながら、この国が培ってきた論理性、批評性、社交性、前衛性といった特質を浮き彫りにします。ただし、本講義の目的は、受講生にフランスの多彩な「情報を伝達」し、フランスの良否を「紹介」することではありません。受講生がフランスの諸事象を考察し理解することで、社会的・文化的・歴史的な比較と分析を通じて、私たちが生きている日本の状況を新しい視点からとらえ直す能力を磨くことが目的です。グローバル化の潮流のなかでアングロ=サクソン的な価値観が日本社会のいたるところに浸透し切っている現在、そうした価値観とは一線を画するフランスから、新たな社会的・文化的・歴史的な道筋を垣間見ることができるでしょう。フランスに限らず、西欧文化一般に興味のある学生、また、西欧文化に関心がなくとも日本社会について考え直したい学生が受講されることを期待します。
授業計画・内容
授業方法
第1回 導入
第2回 教育――哲学教育
フランスでは高校3年生に哲学科目は必修で、大学入試試験の初日は哲学の論述試験。哲学教育の位置づけからフランスの教育の特質を考えます。
第3回 家族――結婚・離婚、PACS、出産・子育て
カップルの離婚率が著しく高いといわれるフランスですが、PACS(民事連帯契約)のように家族・家庭に関する柔軟な法制度が実施されています。また、フランスは長い間出生率低迷に苦労してきましたが、近年は数々の優遇政策で出生率を伸ばしています。フランスの家族政策を考えます。
第4回 原子力
フランスは原子力発電の割合が世界一高い国で、全発電量の77%を占めます。日本と同じく、「原子力ムラ」があり、原子力事故は隠蔽ないしは過小報道され、脱原子力の議論はタブーとされてました。原子力とはいかなるエネルギーであり、いかなる社会的・歴史的な意味をもってきたのかを考えます。
第5回 社会運動
フランスも含めて欧米諸国では、社会的な異議申し立てとして頻繁に路上でデモがおこなわれ、ストライキが打たれます。日本では東日本大震災以後、原発再稼働反対のデモをはじめとして、さまざまなデモや社会運動が起こっています。しかし、それでも社会運動に違和感を感じる人は少なくはなく、「デモなんて無意味」「自分が参加するのはちょっと…」といった声が聞かれます。フランスと日本の社会運動を比較して、ニヒリズムに陥ることなく「社会を変える」とはどういうことなのかを考えます。
第6回 多言語主義――「英語以外の外国語学習」とは?
昨今のグローバル化にともない、英語覇権主義が世界を覆い尽くしています。ただし、世界的に見て、英語を含む二言語の状況は稀で、むしろ三言語以上が使用されうる地域が増えています。EUの多言語主義政策をもとに、英語以外の外国語とは何なのかを考えます。
第7回 全体討論(1)
第8回 共和制と君主制、右翼と左翼
大革命によって共和制を樹立したフランス。「非宗教的、民主的、社会的な単一不可分の共和国」という、日本人には馴染みの薄い共和制の理念と現実について学びます。また、フランス革命に由来する右翼/左翼の区別に関しても日本とフランスを比較し、新右翼の現象について学びます。
第9回 移民
フランスは19世紀に南欧や東欧諸国から、20世紀に北アフリカや西アフリカなどの旧植民地から多くの移民を受け入れてきました。フランスにおける移民政策の成果と失敗を通じて、日本における移民のあり方を考えます。
第10回 死刑
フランスでは中世以来、死刑が公式に実施され、フランス革命時には人道的な死刑方法=ギロチンが発明されました。フランスは西欧諸国でも死刑執行に熱心な国でしたが、1981年にミッテラン大統領が主導して、国民議会で議論を重ねて死刑が廃止されました。死刑をめぐるフランスの社会的・歴史的な背景をたどり、多数の人々が死刑に賛同する日本の状況のことも考えてみます。
第11回 美術――近代絵画の誕生
19世紀半ばのパリで、モネの作品「印象 日の出」がスキャンダルとなります。題材や技術ではなく、視覚的印象を重要視したモネら「印象派」は既成概念を破壊します。自然の外観を再現するのではなく、客観的な世界を主観的な体験によって解釈するという近代絵画の特質を考えます。
第12回 食文化――ワインとカフェの文化史、マルシェ(市場)、レストラン
ローマ時代に端を発するワインの歴史、作家や芸術家が集う社交と文化交流の場・カフェの機能など、フランスの食文化を社会史的な側面と関係づけながら説明します。
第13回 景観の創出と保全
フランスでは景観が重視され、歴史的な街並みや自然を保全しつつ、つねに新しい要素とともに刷新してきました。歴史的な環境保全のためにいかなる工夫と努力が積み重ねられてきたのかを考えます。
第14回 全体討論(2)
第15回 まとめ
授業外学習 課題資料をかならず読んで授業に参加すること。
テキスト・参考書等 教科書はなし。適宜プリントを配布します。参考文献として、朝比奈美知子ほか編『フランス文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房)を挙げておきます。
成績評価方法 授業への参加とコメントのみで評価。試験やレポート課題はなし。単位取得には2/3の出席・コメント提出が必要。
質問受付方法
(オフィスアワー等)
オフィスアワーは特に設定しませんが、直接質問したい場合は随時受付しますので、事前にメールでアポイントメントをとってください。連絡先:ynishi@tmu.ac.jp
特記事項
(他の授業科目との関連性)
本講義では私語はゼロです。大教室での講義は往々にして私語がうるさくて受講生は迷惑しているからです。また、本講義では出席が重視されますから、遅刻は10分までとします。遅れないように教室に来てください。「内職」防止のため、携帯電話やパソコンなど、電子機器の閲覧・使用は禁止です。
備考