授業方針・テーマ |
本講義は、日本、中国、英語圏、ドイツ語圏、フランス語圏の文学・言語を専門とする教員によるリレー講義です。それぞれの地域の代表的な作家や作品(小説・詩・思想など)に触れ、文学の歴史や多様な特性を考察することを通して、文学の諸相を概観すると同時に、現代を生きる私たちにとって文学がどのような意義を持ちうるのかを考えます。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
日本、中国、英語圏、ドイツ語圏、フランス語圏の文学についての基礎的な知識。 各国の作品の読解と鑑賞を通して、異文化理解を深めること。 |
授業計画・内容 授業方法 |
【授業計画】
第1回 ガイダンス、日本文学の発生、文学とは(高桑枝実子・日本文化論) 第2回 潘金蓮登場(荒木典子・中国文化論) 第3回 奥様社会を生き抜け(荒木) 第4回 金蓮の最期、そして現代によみがえる(荒木) 第5回 Literature:「文字で書かれたもの」という原義へ(吉田朋正・英語圏文化論) 第6回 言葉ともの:何かを何かであらわすことについて(吉田) 第7回 メタファーと普遍言語:いわゆる創造的「文学」の臨界(吉田) 第8回 詩学とは何か①ロマン主義篇(金志成・ドイツ語圏文化論) 第9回 詩学とは何か②20世紀転換期篇(金) 第10回 詩学とは何か③戦後~現代篇(金) 第11回 〈私〉と文学 ①自己と社会(清水さやか・フランス語圏文化論) 第12回 〈私〉と文学 ②自己と他者(清水) 第13回 〈私〉と文学 ③自己の探求(清水) 第14回 柿本人麻呂の叙事文脈と「我」の成立(高桑) 第15回 伝説歌と歌い手の「我」、全体のまとめ(高桑)
【授業内容】 (日文・高桑枝実子)前半は原始日本における文学の発生と定義についてお話しします。後半2回は和歌の表現方法と歌い手について考察します。現存するわが国最古の和歌集『万葉集』における最大の歌人は柿本人麻呂です。人麻呂の歌には、しばしば「我(われ)」が登場します。本講義では人麻呂作品を中心に「我」を詠み込んだ歌を取り上げ、上代文学における語りの手法としての「我」の様相を考えます。 (中文・荒木典子) 『金瓶梅』~潘金蓮のサバイバル術~ 明代四大奇書の一つである小説『金瓶梅』は、当時の社会・家庭・生活を詳細に書きつくしたリアリズム小説である。主要登場人物の一人、潘金蓮に焦点を当て、大家族の人間関係や明代の生活文化を疑似体験してみよう。 (英文・吉田朋正)ハヴロック、イニス、マクルーハン、オングなど、英語圏を中心とした古典学者からメディア論者に至るさまざまな論者を手がかりに、聴覚的な口承文化からアルファベットの発明以降の視覚的世界への移行について考察します。「詩」や「小説」の発展以前に、そもそも「文字」や「活字」は人間の世界にどのようなインパクトを与え、いかなる変化をもたらしたのか? “Literature”=文字で書かれたものという原義に遡り、「文学」を文化とテクノロジーの交差する場所として再発見しましょう。 (独文・金志成)ドイツ文学史において「詩学(Poetik)」はバロック時代以来、詩を書くための「規範」として存在しましたが、ロマン主義によって解体され、第二次世界大戦以降はいわば〈ポスト詩学〉の時代に突入することになりました。本講義では、以上の歴史を振り返りつつ、むしろその規範性の喪失によってこそ問われ続けなければならない〈書くこと〉をめぐる問題を考えます。 (仏文・清水さやか)〈私〉という捉え難く厄介な存在への問いは、近代以降のフランス文学に通奏低音のように響き続けてきました。今回は、①自己と社会、②自己と他者、③自己の探求という3つの視点を設定し、それぞれの角度から、主に18世紀から20世紀にかけての作家たち――具体的にはモンテスキュー、アベ・プレヴォー、スタンダール、フローベール、プルースト、ベケットなどの小説を取り上げます――がどのように〈私〉に迫ろうとしたのかを、文学史の流れを辿りながら考察します。
【授業方法】 日本文化論、中国文化論、英語圏文化論、ドイツ語圏文化論、フランス語圏文化論の5人の教員によるオムニバス形式。 |
授業外学習 |
講義のなかで適宜、参考文献を紹介し、読むことを奨励します。 |
テキスト・参考書等 |
教科書は特に使用しません。基本的に、資料は担当教員がkibaco 経由で配布します。コピーするかパソコンその他ののデヴァイスで持参してください。
参考文献は、講義のなかで各担当教員が適宜紹介します。 |
成績評価方法 |
授業への積極的な参加、レポートの成績などから総合的に判断します。 原則として2/3以上(10回以上)の出席が必要です。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
毎回の授業の終わりに質問を受け付けます。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
第一回の冒頭で本講座についてのガイダンスを行いますので、受講希望者は必ず出席して下さい。 関連する他の授業科目としては、人文社会学部・人文学科(人文・社会系国際文化コース)の、日本文化論、中国文化論、英語圏文化論、ドイツ語圏文化論、フランス語圏文化論があります。 私語と遅刻は厳禁。スマートフォンの使用も禁止します。 コメントシートの提出を毎回の義務とします。 |
備考 |
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