授業方針・テーマ |
私たちの社会生活を支えるリベラル・デモクラシーの基本前提には、自由で平等な人々が営む生の多様性への尊重がある。私たちが私的利益と公益性との衝突をしばしば経験し、また異なる価値観や文化的背景を持つ人々との共生の問題をいたるところで突きつけられるのは、まさにこのためである。 この講義では、政治理論への誘いとして、こうした問題を現代政治の規範にかかわる「自由」「正義」「公共性」「寛容」という4つの観点から検討してみたい。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
受講者には、講義を通じて、「政治」の領域に発生する諸問題に潜む思想的契機を発見する眼を養ってほしい。あわせて、政治理論とそれが生まれた歴史的文脈との関係を理解することを求めたい。以上のことを通じて、リベラル・デモクラシーをひとつの政治文化と見る視点を持ち、その特質と問題点について各人の理解を深めることをとおして、多角的・総合的な視点から政治を論理的に考える力を身につけてもらいたい。 |
授業計画・内容 授業方法 |
以下の順にしたがって講義をする予定である。
Ⅰ、講義のねらいと構成:oneとmany(第1回)
Ⅱ、自由と政治:規則はなぜ不自由なのか? (1)自由とルール(第2回) (2)自由の諸類型とその政治観(第3~5回) Ⅲ、正義と政治:善人vs 善人の争いにはどう対処したらよいのか? (1)功利主義とその諸問題(第6回) (2)公正としての正義(第7回)
Ⅳ、公共性と政治:社会のために働くことはなぜ立派なのか? (1)政治における徳の問題(第8回) (2)共和主義の政治観(第9~10回) (3)国民国家における公共性の問題(第11回)
Ⅴ、寛容と政治:許せることと許せないことの境界線はどこにあるのか? (1)自由主義と寛容(第12回) (2)世俗化と私事化(第13回) (3)多文化主義とアイデンティティ(第14回)
Ⅵ、総括(第15回)
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授業外学習 |
毎回の講義で取り上げるトピックスについて、レジュメに記された「考察のポイント」に留意しつつ、講義で紹介する参考文献を適宜参照しながら理解を深めることが望まれる。 |
テキスト・参考書等 |
【テキスト】とくに指定せず、レジュメを配布する。 【参考書等】講義のなかで随時紹介するが、基本文献としてとりあえず以下の2冊をあげておく。 ・古賀敬太(編)『政治概念の歴史的展開 第1巻』晃洋書房。 ・山岡龍一・斎藤純一『公共哲学 改訂版』放送大学教育振興会。
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成績評価方法 |
学期末試験の成績(100%)によって評価する。
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質問受付方法 (オフィスアワー等) |
オフィスアワーは特に設定しないが、質問は毎回の授業中もしくは授業終了後に随時受けつける。それ以外の時間を希望する場合は、事前に教室で問い合わせること。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
本科目は法学部推奨科目である。政治学に関わる科目全般の基本になるような講義にしたいと考えている。講義はできる限り平易に語ることを心掛けるが、取り上げる素材そのものは決して易しくはないので、この点は留意されたい。 また、学生に対する連絡はkibacoを通じて行うので、よく注意しておくこと。 |
備考 |
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